舞い誇る華
「自分にしかないものを見ようともしないで自分にはないものを見ようとする …嫉むよりもまず〝自分を見つめ直す〟ことの方が大切だ」



「〝自分を見つめ直す〟… そう、だよね…あたし全然自分が分からないもの…」


俯きがちの鈴蘭に、桃城はそっと近寄り頭を撫でた。


「鈴ちゃんなら大丈夫だよ 焦らず肩の力を抜こう まだまだ未来(さき)は長いんだから 君の春日への〝秘めた恋″も」


その言葉に、鈴蘭は真っ赤になった顔を勢いよく上げて口を金魚のようにパクパクさせた。


「な、な、ななな何それ!?」


二の句が告げない様子で顔が真っ赤な鈴蘭を見て微笑む桃城。
だが、そんな鈴蘭の後ろを見て表情が変わった。



「ノォォーーー!! 惜しい!!!!まだ鈴ちゃんと話したかったのにぃぃ」


いきなり叫ばれビックリする鈴蘭に、桃城はお構いなしに話続ける。


「鈴ちゃん 鈴ちゃん 俺にお向かいが来ちゃったよ… 部活動はもう終わりの時間だから弓道部も終わってると思うよ 今度はゆっくりおしゃべりしような!」


じゃあなー と手をブンブン振って鈴蘭の後ろに眉間にシワをよせて立っていた副会長に走り寄った。 鈴蘭は、後ろを向き桃城達が見えなくなるまで手を振り替えした。





一方、雛菊・藤歳は―――

「奈月!!! 後ろの奴をこっちによこせ!!!!!」


藤歳は目の前にいる人物に怒鳴りちらしていた。
何故なら、目の前にいる銀髪に長身の青年の後ろには、彼の来ているユニフォームを掴んで隠れている雛菊がいるからだ。


「藤… そんな怒鳴っていたら雛だって恐くて出ていけないよ?」


困惑した表情で藤歳を宥めようとしている【サッカー部兼剣道部員 奈月・T・アルストロメリア‐なつき・T・あるすとろめりあ‐】


「雛も 藤歳に何かして怒らせたんならちゃんと謝らなきゃ 逃げるなんて駄目だろう?」



 
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