舞い誇る華
 

だが、優しい眼差しを向けていた人物は 次第に険しい顔つきになる。


―――――いくらなんでも あれが演技なんてアドリブききすぎ……
いや その前にあたしが出てきた時点でスタッフやらが止めに入るか
周りには カメラや機材、人っ子一人いないし…
なら これは映画やドラマの撮影じゃないって事?




まだ 泣き止まない瑠璃と目を覚まさない鈴姫をじーっと見てから 仲間に置いてかれた気絶している男に近寄り、またじーっと観察する。




―――――これ 絶対自毛でしょ…
カツラつけてる分け目みたいなのないし
でも 自毛で丁髷(ちょんまげ)ってありえないか
あの子達の髪型も…カツラだな きっと




「あっ でも 着物の説明がつかないや」



ツンツン と丁髷を突きながら自己完結しようとするが、すぐ次の疑問が浮かんできた。





―――――それに カツラだとしても付ける理由がないし
今時 若い人の着物なんて成人式ぐらいしか見ないしなー…



「姫様っ 良かった
お気づきになられたんですね!!」



瑠璃の歓喜の涙声が聞こえ 後ろを振り向く。

まだ覚醒しきれてないのかぼんやりとして、倒れた体をゆっくり起こそうとする鈴姫。
そんな鈴姫を見て瑠璃は背中に手をあて気遣いながら支える。



「大丈夫ですか? 鈴様」



「っ…… 瑠璃!!!大丈夫なの?!! 」


 
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