短編集




俺が小学6年生の時だった



今じゃ病名も覚えてねーけど
とにかくやべぇ死病にかかったらしい



記憶にないけどな




その時だったんだ


俺の“天使”が迎えにきたのは





何故かこれだけは鮮明に覚えてる


白い羽

純白の服

綺麗な肌

長い髪




彼女は何故か宙に浮いているんだ




「だ…れ……?」



彼女は俺の問いには答えなかった




「てん…し…?」




その一言で彼女の表情は変わった


笑ったんじゃない
怒ったんじゃない


悲しい顔をする






なんで?




俺が彼女に向かって手を伸ばすと

彼女は微笑んだ




そして彼女も俺に手を伸ばした








手と手は繋がるはずだった





それは大勢の人によって
彼女から引き離された






俺は何がなんだかわからず
必死に彼女に助けを求めた






だが彼女は俺に背を向け




『まだ………』





彼女はその言葉を残し

遠い空へいってしまった







まだ……?



まだ……何?





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