短編集
「あ、直君」
耳を済まさないと聞こえないくらい
小さな声だったが
ちゃんと聞こえてたみたいだ
「良かったら…一緒に帰らね?」
今度ははっきり言えた
まるで告白してるようで
恥ずかしい…
断られたら俺、終わりだな
そう思ってしまったが答えは
期待通り
「うん!!良いよ」
――――
―――
「…それにしても一緒に帰るの
久しぶりだね」
俺の隣で笑顔で言う。
「そうだな…4.5ヶ月ぶりか?」
「そんなかぁ…」
他愛もない話をいっぱいした
いつの間にか俺も笑顔になっていた
「よかった…」
「え?」
予想もしなかった言葉が出てきた
「だって直君、何か考え込んでたし
追い詰められてたのかなって思ったから…」
いや、まぁ間違ってはいない
蓮にかなり追い詰められてたからな
「だから、笑顔になって良かった」
俺には眩しい笑顔だった
「ありがとな」