0:00


1人になった、生徒会室。


「璃昂ちゃん…か」
璃昂は何も覚えていない。
俺が兄ってこと。


江川家の本当の娘ではないこと。


「信…どうした?」
「榮治…」


榮治は俺の大親友。
唯一、何でも言える相手だ。


「屋上で…話したのか?」

榮治には、全て話してある。
だからこそ生まれる安心感がある。


「いや…話せなかった」
「だろうな…お前ほんと優しいもんな」
「そんなことねぇよ。ただ…」
「ただ?」
「俺は…璃昂が不安そうな顔を、見たくないだけだから」



そっか、と榮治が呟いた。
< 17 / 45 >

この作品をシェア

pagetop