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「シノ先輩…が、学校は?」
「あいつらが来ないから…早退した」

そ、そうですか…

どれだけ仲間思いなんだよ!


「璃昂…」
「璃昂って気安く呼ばないでよっ…」


『そのままだと…いつか壊れるよ』


前言われた言葉が、ふとよみがえって、泣きそうになる。


「先輩は…あたしの何を知ってるの?」
「全部知ってる」
「どうして分かるの…?」
「…それは言えない」


言えない?

どうして?


強い口調で言いたかったけど、何故か…

何故か涙が溢れて、言葉が出ない。






「全部話しなよ。俺は聞くことしかできないけど」


誰かを信じることが



「俺を信じて」



誰かに頼ることが



「俺を頼って」



誰かに甘えることが


「俺に甘えて」


誰かに素を見せることが


「本当の璃昂を見せて」




あたしにはまだ怖かった。
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