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---中学1年 冬---

コンコン…

「こんにちは」
ドアの後ろから、低めの声が聞こえた。


そいつはあたしの部屋に入ってきて
「沙羅ちゃん?」
とだけ、聞いてきた。


ちょっと睨んで、コクンと頷いた。

あたしの正面に座ったそいつの顔は、悪くなかった。
かっこいいというより、可愛いという表現が似合う顔。

第一印象は「怒ったら怖そう」。

「初めまして。俺は嘉川拓也、36歳」
36歳には見えなかった。
もっと若いと思ってた。

「…侑沙羅、12歳」
「沙羅ちゃんってまだ12歳なんだ。誕生日いつ?」
「1月」
「何日?」
「17」
「そっか!来年なんだ」

その後も、『あたしの事』をいろいろ聞いてきた。


「沙羅ちゃんは彼氏いるの?」
「いない」
「好きな人も?」
「男は嫌い」
「俺も男なんだけど」

同じ年代の男なんか嫌い…
みんな格好つけてて、アホらしい。
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