同じ空の下で
自分だけの記憶をどうこうしようたって、それは出来ない。誰かの記憶と交換しなければいけない。
僕は真鈴の方を見た。すると僕を包んでいた記憶たちが道を開き、真鈴への視界を作った。真鈴の周りにも、やはり僕と同じような記憶の紙切れが渦巻いていた。真鈴の目ははっきりと開いているけれど、意識は無いようだった。恐らく、今僕が真鈴の記憶を勝手に交換したとしても何も気付きはしないのだろう。
こうやって記憶の交換は行われる……。でも、何故? 何がきっかけで今僕はこんな状態になっているんだろうか。子猫の方を見る。そこには何の記憶も渦巻いてはいなかった。動物だから?
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