同じ空の下で
じっくりとその顔を眺めてから、もう一度僕は部屋をぐるりと見回す。思い出した。僕が結婚する前に暮らしていた部屋だ。
何故、ここに?
どこを探しても、奏は見当たらない。でもなんとなく判っていた。
奏が残した最後の言葉。私を見つけ出して。そういうことなんだな。
僕の愛を取り戻すため、彼女はこんな犠牲を払ったんだ。頼りない僕のせいで、危険な目にまで遭わせてしまった。もうそんなこと、させない。

次は君を取り戻しに行く。僕一人の力で。
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