同じ空の下で
すたすたと歩く優等生と食いしん坊。二人はお互いの腕が触れそうなぐらいに寄り添っている。今更ながら、とても仲が良いんだろうなぁと思う。幼なじみだろうか?
公園を出て、人通りの多い道へ出る。二人を見失わないように、僕はしっかり後ろにつける。そんな二人を眺めているうちに、僕の中で何かがそこに重なった。
僕と奏だった。僕らは小さい頃からいつも一緒にいて、いつも寄り添っていた。奏の無邪気な笑顔に、僕はいつだって救われていた気がした。……そうだ。気がするだけで、本当のところは判らない。ここ最近、あまりにも記憶があやふやで不透明で、僕の記憶にはフィルターがかかったみたいな感じだ。何が本当の記憶で何が偽りなのか。僕にはもう、判らない。奏は本当に死んだのだろうか? 僕は怖くて、何も確かめてはいない。あの時、揺るぎなく感じた思いが今更根元から揺れ始める。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫かよ?」
気が付くと、二人が僕の目の前にいた。
「ごめん、大丈夫だよ。さぁ、行こう」
僕らは中山遊園地へと歩き続けた。
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