真冬のひまわり
「んもーっ、ほんっとにありえなぁーい!!」

どさっ、と景気のいい音を立てて
鞄を投げつけると、
若菜はひどい膨れっ面のまま
それほど長くない足を
器用に組んで座った。

「…。」

構ってる暇がないので、
適当にスルーする。

…大体、たかが転校生ぐらいで
一日中ぶーたれてんじゃねぇ。
…そんな暇があるんなら、
掃除を手伝えっての。
正直な心境を飲み込んで、
黙々と箒を左右させる。

「あぁおいぃー葵は、悔しくないのぉ!?うちらのクラス、連続オンナだよぉ!?隣はバンバンメンズが来たってゅぅのにー」


…ぁあそうですか。左様で御座いますか。

またしても適当にかわして、教室の鍵を閉めようとしたときだった。


「…あれ、カバン…」

持ち主の不明な
なんの特徴もない黒いザックが
ぽっかりと口を開けたまま
放置されていた。

…誰のだ?男子の鞄みたいだけど…
男子のってみんな似たり寄ったりで
ぱっと見区別なんてつかないし…


「ぁ、これ、ススムのだょぉ。河野クン」




…アンタはススムサンの
ストーカーかなんかか?
< 13 / 25 >

この作品をシェア

pagetop