真冬のひまわり
私はもともと切れ長な目を更に吊り上げて
ヤツが出ていった教室のドアを
しばらく凝視していた。
…睨めつけていた、とも言うが。


「…あ、おいー?」

遠慮がちな若菜の声が響く。
片手にはいつの間にか
真っ白なケータイが握られていて。


「んだよ」

初対面の輩にバカにされた、
からではないが
なぜか沸き起こる
言いようのない苛立ちが
激しく若菜に向かう。



「ススムがね、一緒に帰ろうってー…」




…このタイミングで、河野ですかい。
正体不明なヤツが、当たり前な顔して、河野の鞄を持ってった。いや、もぎ取ってった。…ということは、ヤツと河野はなぜか知らんが親しいってわけで。
…ほぼ100%、今河野の隣には


ヤツもいるってことだ。




…で、このタイミングで
「一緒に帰ろう」だぁ?


…冗談じゃねぇ。やなこった。




必死に頭を振ったが、結局私は若菜に連行される羽目となった。
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