真冬のひまわり
序幕:「今宵のProtagonist」
あさひとひまわり。
「うーん、今日もいー天気っ」
燦々と煌めく太陽を背に、漆黒のランドセルを翻し、眩しいほどの白い歯を見せて笑う幼い彼の瞳はどことなく寂しくて。
「ぁっ、ねぇねぇひまわり咲いてるっ」
子犬のようなあどけない顔。
純真な故になんの汚れも恐れもないような、穏やかな微笑みの奥に。
子供らしい無邪気さでも、ちょっぴり背伸びした大人びさでもない、酸いも甘きもすべてを知り尽くしたような老翁の輝きがあることを
「ひまわり、って、
向日葵、って書くんだよ」
「ひまわり…向日葵。
…なんかさ、お日様を向く葵って」
優しい茶色のさらさらした髪が、夜な夜な苦痛に苛まれて揺られることを
「なんか俺とあおちゃんみたいだなっ」
日に焼けたことのない、牛乳を垂れ流したような肌に、痛々しい傷跡が幾つも刻まれていることを
…人々は知らない。
「もしもーし、あおちゃん?」
向日葵、かぁー…。
確かに、似てるね、あたしたちと。
朝日に向かって咲き誇るひまわりはあたし
そんなあたしを遥彼方で愛でるのはあなた
アサヒ
あたしは
アサヒの全部が
好きだから
あたし、新藤葵は
あなた、大塚旭が
大好きだから―
燦々と煌めく太陽を背に、漆黒のランドセルを翻し、眩しいほどの白い歯を見せて笑う幼い彼の瞳はどことなく寂しくて。
「ぁっ、ねぇねぇひまわり咲いてるっ」
子犬のようなあどけない顔。
純真な故になんの汚れも恐れもないような、穏やかな微笑みの奥に。
子供らしい無邪気さでも、ちょっぴり背伸びした大人びさでもない、酸いも甘きもすべてを知り尽くしたような老翁の輝きがあることを
「ひまわり、って、
向日葵、って書くんだよ」
「ひまわり…向日葵。
…なんかさ、お日様を向く葵って」
優しい茶色のさらさらした髪が、夜な夜な苦痛に苛まれて揺られることを
「なんか俺とあおちゃんみたいだなっ」
日に焼けたことのない、牛乳を垂れ流したような肌に、痛々しい傷跡が幾つも刻まれていることを
…人々は知らない。
「もしもーし、あおちゃん?」
向日葵、かぁー…。
確かに、似てるね、あたしたちと。
朝日に向かって咲き誇るひまわりはあたし
そんなあたしを遥彼方で愛でるのはあなた
アサヒ
あたしは
アサヒの全部が
好きだから
あたし、新藤葵は
あなた、大塚旭が
大好きだから―