真冬のひまわり
とは言っても
一目惚れとかそんな
運命的なものでも
乙女チックなものでもなくて

毎朝乗る電車の中で
たまたま同じ車両に乗り合わせた、
ただそれだけのことだった。


満員電車にしばらく揺られること数分。

私の前に座っていた人が
人の波にもまれながら降りるやいなや
隣のおばさんも真っ青な勢いで、
私はその席を手に入れた。


正直、私は他人に関心がない。

人の名前を聞いた傍から忘れるなんてしょっちゅうである。

第一、満員電車で運良く席にありつけようものなら、一心不乱に足りない睡眠をとる私が、

電車の中で周りを見渡すなんて、普段ならありえないことだった。

にも関わらず、眠りに落ちる前に
ふと扉側に目を向けたのは、

そして目を向けた先に
おもいっきり負のオーラを醸し出している
私と同じ制服をまとった
少年がもたれていたのは、


はたして偶然か、
否か―――――。
< 7 / 25 >

この作品をシェア

pagetop