真冬のひまわり
学校に着くとすぐ
誰かにタックルされた。


「葵ーっっ、聞いて聞いてっ、大ニュースっ」

「若菜、どうでもいいけど、抱きつくのはやめてくんない?」

時季はずれの転校生が来たらしいと
ただでさえ大きい瞳をさらに見開かせて
叫びまくる彼女を軽くあしらい
窓際の最後列にどさっと座った。
日当たり良好な、私の指定席。

「んもうっ、人の話くらいちゃんと聞いてよねっっ」

…明らかに拗ねている。
…そしてこういうのは、
放っておくにかぎる。

「ちょっとぉ!!少しは興味持ちなさいよぉっ」

…やれやれ。
どうしたらもっと可愛く見えるかを
計算し尽くしたような、
それでいてあまり可愛くない
ふくれっ面を一瞥して、
私は彼女に付き合ってやることにした。


「…で、男?おん」
「男♪」


…即答かよ。
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