二藍蝶
大好きな人の腕の中に
私は今、抱かれているのに
それが、こんなにも
辛いなんて・・・

私は、どうして芳野を
好きになったりしたの?

神様は何て意地悪なの?

もっと普通の恋愛で
良かったのに・・・

この恋は私には
あまりにも辛すぎる。

「放して・・・
 おねがい」

その時、ドアが閉まる音
が聞こえた。

「ただいま、あれっ
 ヨシノ帰ってるの?」

「もう、パパ
 帰ってるの?」

母と花の声は、リビングまで
届いているのに、貴方は
私を抱く手を緩めない。

「ヨシノ?」
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