二藍蝶
その時、もう一度
ドアが閉まる音が響いた。

その音に驚いた芳野は
私を抱き締める腕を解いて
しまった。

貴方の腕から、逃れる私。

「ただいま」

「あらっ、チグサ
 あなた、今帰り」

「いつまで遊んでるのよ」

開け放たれる

リビングのドア。

「あらっ、アイ
 どう、具合はもういいの?」

私は、黙ったまま頷く。

「そう、良かったわ
 
 それより、ヨシノ
 今日は仕事で遅くなるって
 ・・・・・・
 あなた、まさか
 飲んでるの?」

「ああ、クライアントの
 付き合いで、ちょっとな」
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