二藍蝶
「アイちゃん・・・
 どうかした?」

私の涙に驚いている
妹の千種。

「アイ、まだしんどい?」

心配そうに私を見つめる母。

「違うの、ごめんなさい
 せっかくの外食・・・
 私のせいで・・・
 ハナの買い物にも
 行けなくて・・・ごめん」

泣き声で謝る、私。

「アイちゃん、いいよ
 気にしなくて」

この涙は、本当は違うの。

確かに、今日の事は悪いと
思ってる。

だけど、この涙は違う。

涙の意味を、芳野だけが
知っている。
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