二藍蝶
あれは、いつかの出来事。

救急病棟に血相を変えて
現われたのは、庵と菫。

そう、両親に内緒で祖父に
買い与えてもらった
このバイクで、俺は事故り
病院に担ぎ込まれた。

怪我は大した事はなく
治療を終えて、診察室から
出てきた俺の瞳に、二人の
姿が映る。

「すまない、イオリ
 俺がバイクを・・・」

謝る祖父の脇を通り、親父は
俺の傍へ。

「ごめ・・・」

親父は、俺の頭を叩き
そして、頬を思いっきり
打った。

「この馬鹿・・・」

親父は、両腕で俺を
強く抱く。
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