二藍蝶
「心配させやがって・・・」

「ごめん、父さん」

親父の腕が微かに
震えているような気がした。

俺の頭を優しく撫でる親父。

そんな親父に、俺は約束した

「もう、バイクには
 乗らねぇから約束する」

親父は二度、頷く。

「自分で言ったからには
 守れよ」

親父の背負う悲しみは
計り知れない。

「カイリ、聞いて
 私も貴方も、リンも
 絶対、イオリよりも先に
 死ぬことは許されない
 
 何があっても
 絶対に・・・」

真剣な表情で、俺達に話して
聞かせる母からは、いつもの
頼りなさは微塵も感じる事は
無い。

俺を見つめる、真っ直ぐな
母の瞳・・・

その視線は、今も
俺の胸に突き刺さる。
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