二藍蝶
ここは、駅。

浬は道路の脇にバイクを止め
ヘルメットを外し、明るい髪
を掻き揚げた。

そして、携帯電話を手に持ち
藍に連絡する。

「今、お前の言う
 駅に着いた
 
 それより、お前
 大丈夫?
 危なくねぇか?
 
 家まで迎えに・・・
 分かった、待ってる」

俺は、星ひとつ無い
真っ暗な空を見上げた。

夜風が、肌に気持ちいい。

俺は、携帯電話の時計を
何度も見つめては、時間を
確認して、辺りを見渡す。

目でアイの姿を探す。

コツコツ・・・

足音が聞こえてくる方向を
見つめると、そこに藍の姿
があった。

俺は叫ぶ

お前の名を。

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