二藍蝶
「ああ、俺にはヒイロしか
 いない
 
 子供の前で、俺
 何言ってるんだろうな
 
 ハナやチグサには言うなよ」

「言わないよ・・・
 
 ヨシノ、これからはどうぞ
 よろしくお願いします」

「おう、任せとけ

 小遣いは期待するなよ」

笑い合う二人・・・

芳野の部屋を出て行く私は
言えた。

「ヨシノ、私
 本当の愛を知ったの

 私は、彼と出会った
 おかげで、ヨシノ
 貴方への報われない
 叶わない想いから
 解き放たれた」

煙草を銜えた芳野だったが
その煙草を灰皿に捨てた。

少女から大人の女性へと
移り変わる藍は、光り
輝いていた。
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