二藍蝶
隣の男性が、私を見つめて
浬に何かを話す。

浬は、黙ったままスタスタと
前だけを見つめて歩いて行く

浬の後を追いかけるのが
やっとの私

「カイリ、お願い
 待って、カイリ」

もう少しで、伸ばした手が
浬の背に届く。

その時、鞄を持つ私の腕を掴む
紺色のスーツの袖が見えた。

その手は、女性の手。

「ちょっと、貴女
 高校生よね?
 
 こんな時間に繁華街で
 何をしているの?

 私は、少年課の刑事よ
 その制服、学校は確か・・」

私は、女性警官の手を
振り解こうと、手を動かすが
彼女の指が長袖ブラウスの上
私の腕に、力強く食い込む。
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