二藍蝶

その後、室内に戻って来た
会澤会長は、巴さんを連れて
帰って行った。

「チヒロ
　決めていたことなの・・・
　
　私はもう、貴方とは
　一緒に暮らせない

　貴方にとって私は
　道具でしか無かった・・・

　愛が無い以上、一緒には
　居られない　
　
　離婚届、置いていきます

　チヒロ
　貴方を信じてくれた人
　を裏切るような事は
　もう、しないで・・・」

何度、あのドアは
開き、閉まった事だろう。

この日、センさんと俺は
同時に大切なものを失った。

俺は、生きる・・・

憧れた世界で、もがき苦しみ
生きる。

この世界と引き換えに
無くした物は多い・・・