二藍蝶
「捨てられないよ
 宝物だもの
 
 カイリは
 捨てちゃった?」

「いや、壊れたまま
 持ってる」

そう言って、浬は起き上がり
脱いだズボンのポケットから
財布を取り出し、ネックレス
を出した。

藍の手に置かれる
Aのイニシャルネックレス

「私が貰ってもいい?」

「ああ、鎖
 新しいの買ってやるよ」

「ううん、このままでいい
 カイリ、外してくれる?」

シャンプーの香りが香る
藍の首元から外された
ネックレス。

「ほらっ」

手の平には
二つのネックレス。

「ありがとう」

「藍
 風邪、引くぞ」

浬は、脱いだシャツを
藍にかけてあげた。
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