二藍蝶
「ありがとう」

藍は、Aのイニシャル部分
だけを上手に取って
自分のネックレスに付けた。

二つのイニシャルが今
一つの鎖に繋がれる。

ひとつになる。

「うまいもんだな」

「簡単だよ
 
 ここをね
 広げればいいだけ・・・

 カイリ、付けてくれる」

「ああ、貸して」

ネックレスが首元に戻ると
藍は、二つのイニシャルに
触れ、にっこりと微笑んだ。

「ありがとう」

ネックレスに触れる藍の
綺麗な、後ろ姿に見惚れる
浬。

カシャン・・・

ジッポーライターの音と共に
煙草の香りが部屋中に
立ち込める。
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