二藍蝶
「・・・
 親である、センさんが
 目を光らせているから
 お前に何事も起こらないが
 今のままの横柄な態度を
 とり続けていると、いつか
 お前、遣られるぞ」

笑う俺に、塁は言う。

「笑い事じゃないぞ
 カイリ
 
 群れるのが嫌なら
 それでもいい

 ただ、もう少し仲間に
 心を開いた方がいい

 この場所で生きるなら・・」

「ルイ
 お前はいつからそんなに
 愛想がよくなった?

 今のお前を見たら、族の頃
 の仲間は驚くだろうな」

岸邊 塁は、元暴走族の頭。

一匹狼で、群れることを一番
嫌う、そんな男・・・

「族の頃の俺には
 仲間と呼べる奴など
 一人もいなかった
 
 皆、雑魚で、俺の顔色を
 伺う奴ばかり・・・
 
 俺に仲間がいるとしたら
 センさんと、お前だけだ」

「ふうん、そうか」

俺は、何だか照れくさくて
窓の外を見つめた。
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