二藍蝶
「藍・・・」

私は、聞こえないふりをした

手には、鞄を持ち
この部屋を出て行く。

「兄貴、すみません
 後で、かけなおします」

靴を履く私の肩に触れる手

「藍、待てよ
 帰るなら、家まで
 送って行ってやる」

『ここに居ろ

 帰るなよ・・・』

昔の貴方なら、きっと
そう言ってくれた。

今の貴方は、私に
何の興味も無い。

私が二度と、この場所に
戻らなくても

きっと貴方は・・・

泣きたくないのに涙が流れた
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