二藍蝶
「藍?」

だって、泣いたって
何も変わらないもの・・・

貴方はただ、困った顔を
するだけ・・・

そして、ほらっ
腕時計を見つめる。

今の貴方に、私は必要無い。

「一人で帰れるからいいよ
 急いでるんでしょう

 ほらっ
 早く行った方がいいよ

 私、部屋の戸締りを
 してから行くから・・・」

履きかけの靴を、私は脱ぐ。

「すまない・・・
 迎えには行くから
 連絡しろよ」

「迎えも、いらないよ
 一人で帰れるよ
 大丈夫・・・ 
 行ってらっしゃい」

貴方の唇が、私に触れる。

冷たい口づけに心が嘆き
壊れていく・・・
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