二藍蝶
俺は、夢を見て微笑む。

藍の、あの可愛い声が
今夜は聞こえない。

翌朝、俺は目覚め
胸騒ぎに襲われた。

部屋中に溢れていた
お前の物が何一つない。

洗面所のゴミ箱に
なぜか捨てられた
ピンク色の歯ブラシ。

昨夜、藍が着ていた
カーディガン。

あれは再会した時に
藍が着ていた洋服・・・

藍は、最初からこの部屋を
出て行くつもりでいたのか?

『カイリ、私
 一度、自分の家に戻るね
 いいでしょう?』

家に戻るなどと、一度も
言った事の無いお前が
俺に、そう聞いたのも。

涙を流したのも・・・
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