二藍蝶
俺は、携帯電話を手に取り
そして、今やっと分かる。

俺はどうしようもない

馬鹿な男・・・

愛する女の事

何ひとつ知らない・・・

『今、ここでお前を見失えば
 二度と逢えないような
 気がする』

再会した、あの日

俺はその想いから、無我夢中で
お前を求めたのに俺はお前の事
何も知らない。

お前の事を、何も知らなくても
良かったのは・・・

知る必要が無かったのは・・・

それは、出会ったあの日から
今まで、お前が全てを捨てて
俺の傍に居てくれたから。

お前は、昨夜
二度と逢えなくなると
俺に精一杯に伝えていたに
違いない。

それなのに、俺は
お前の瞳を見る事なく

お前の声など聞いても
いなかった。
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