二藍蝶
俺は全ての人の気持ちを
裏切り、踏みにじり
熱く震える鼓動のままに
前へ進む・・・

代々、組長になる男が
着たであろう、年期の
入った紋付羽織袴を着た


その姿は、凛々しく
息を飲む、組員達。

仲間が見守る中、浬は
跡目相続の盃を飲み干す。

こうして、ここに
入江組八代目組長が
誕生した。

21歳の浬は、庵よりも
遥かに若く、組長になる。

有り得ねえ話だが
これは、本当の話。

そして、俺はまだ
23歳。

ヤクザ社会に生きる誰もが
入江組の事を馬鹿にした。

痴けた先代の戯言・・・

こんなにも若い組長に
いったい何ができる。

いつでも、入江組を
飲み込む事ができる。

入江組の名前も地に落ちた
ものだと笑った。
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