二藍蝶
そう言って、男は仲間と
共に、出て行った。

「礼儀も知らない馬鹿な男で
 すみません」

「いやっ・・・
 彼が言う
 関西一の極道と言うのは?
 
 彼は、どこの組に?」

「カオルは、関西では
 有名な、神前組に入ると
 言い残し、この家を
 出て行った」

「あの、カンザキ組が
 どうしてこんなにも
 小さな組と・・・

 しかも、兄弟関係を
 結びたがるのはなぜだ?」

「何か
 裏がありそうですね」

その頃、浬は千夏から
正二の具合が急変した
知らせを受けて、慌てて
高月家へ出向いていた。

元気な祖父の姿に
ほっと安堵した浬は

久しぶりに見る庭園に
心を和ませていた。

「カイリ
 嘘をついて呼び出して
 済まなかったな

 こうでもしなきゃ
 お前は逢いに来ては
 くれないだろう?」

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