二藍蝶
その涙は、とても美しく
この俺は、触れることを
恐れた。

事務所用のプロフィール写真を
今回、新しく撮影し終えた私は
その帰り道、事務所に飾られた
母の写真を見つめていた。

やっぱり、この写真の
母の笑顔は最高だ。

「アイ、待って

 今夜は、付き合いなさいよ
 仕事の後、真っ直ぐに家に
 戻って、何が楽しいの?」

離さないように、私と腕を組む
茉優。

「楽しいよ
 本を読んだり、映画を観たり
 ・・・」

「そんなこと
 飲み会を断わってまで
 優先することじゃない
 でしょう・・・

 今日は付き合いな」

そう言って、飽きれた顔を
しているのは、茉優。
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