二藍蝶
カウンターに置かれたグラスに
注がれた、セルリアンブルーの
カクテルの中に浮かぶ、赤い
さくらんぼを、藍は見つめる

「カイリに何も告げずに
 彼の前から消えたのは
 
 私・・・
 
 それなのに、私は今も
 カイリが大好きで
 
 カイリに会いたくて
 仕方ない・・・」

「だから言ったのに・・・」

遠い昔・・・

茉優は、私に言った。

『アイ、彼、カイリには
 絶対に逢いに行っちゃ
 駄目だよ』

茉優は、言う。

「私の忠告を聞かなかった
 からだよ・・・」

『あんな遊び人が
 初めての相手だなんて・・・
 もし、そうなら最悪だよ
 ・・・』
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