二藍蝶
「かんぱい」

これは、偶然に出会った
なんて言うのだろうか?

そんなことを思う私だったが
目の前に座る男性の笑顔に
仕方なくグラスを重ねた。

盛り上がる会とは、裏腹に
私は、早く帰りたくて
隣に座る茉優を何度も
見つめた。

「アイ
 もう少し、笑いなよ」

私は、茉優に
愛想笑いをしてみせた。

その笑顔を見ていた
前の男性は言う。

「本当に
 実物のアイさんなんだ
 
 貴女の笑顔
 とても素敵です
 
 今、最も注目されている
 モデル達との飲み会だと
 聞いてはいましたが
 まさか貴女に会えるとは
 思いもしませんでしたよ」

「私も、まさか自分が
 こんなところにいるとは
 ・・・・・・」

こんなところ・・・

それは、この場所に不満が
あるようにも取られる言葉。
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