二藍蝶
中年の男性はお店を出て行き
座ったままの男性は顔を両手
で覆った。

細く長い指先・・・

支払いを終えた男性は慌てて
据わっている彼の元へ、その時
おつりを落としてしまう。

百円玉がコロコロと私の足元へ

屈んで百円玉を拾う私・・・

「すみません」

男性の声の後に茉優の
大きな声が聞こえた。

「アイ、大丈夫
 気分、悪いの?」

アイ・・・

その呼び名に顔を覆う手が
離れようとした。

「ううん、違うの
 これ、彼が落として
 私は拾っただけ・・・

 どうぞ」

「ありがとう」

「いえ」
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