二藍蝶
男性は、落としたお金を
私から受け取り、顔を覆う
彼の元へ向かい、彼の脇
を掴み立たせる。

「大丈夫か?カ・・」

藍に背を向けて、男の唇を
塞ぐのは、浬。

「アイ
 しゃがんでたから
 びっくりしたよ」

私は、茉優を見つめた。

「勘違いだよ、ヒロ」

お店を出ようとした弦は
ヒロという呼び名に
立ち止まった。

「セキ、振り返るな
 黙って行くぞ」

閉まるドア・・・

気がつくと、そこにはもう
誰もいなかった。

支払いの時、私は足元に
光るものを見つけた。

百円玉がもうひとつ・・・
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