二藍蝶
「ヒロ、これ
 さっきの人のおつり

 私、渡してくる」

「えっ、うん」

開かれるドア、私は男性の
姿を探す。

座っていた彼の覚束ない
足どり

それを支える男性・・

駆け寄る私・・・

店の外、停まっている車
に近づく二人の話し声が
微かに聞こてきた。

「確かヒロって・・・
 
 お前が昔
 遊んだ女にいたよな?」 

私は、声をかける事なく
百円玉を握り締めて
耳を研ぎ澄ます。

「セキ、もう黙れよ
 飲みすぎて
 頭、イテェ」

「カイリ・・・
 いえっ、親父
 すみません」
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