二藍蝶
「何
 畏(かしこ)まってんの?
 
 お前や、ルイは
 今までどおり
 
 カイリでいい」 

浬でいい・・・

確かに今、貴方の声で
そう言った。

車のドアが開き、貴方は
後部座席に乗車した。

助手席のドアに手をかけた
男性の背中に私は触れる。

振り返る、男性・・・

後部座席に座った浬の顔
私には見えない・・・

でも確かに、この車には
浬が乗っている。

高鳴る胸・・・

私達は、また出会う・・・

これこそが、本当の偶然

運命・・・

「まだ、落ちてました
 これ・・・」

「わざわざ、ありがとう」

私・・・

こんなことを話してる
場合じゃない・・・

浬に、私だと気づいてほしい

私は、その場に立ち尽くす。
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