二藍蝶
ただ、貴方を乗せた車が
夜の街に消えて行くのを
見つめていた・・・

「アイ、どうかしたの?」

「ううん
 
 お金、幾らだった?
 
 ちょっと待って、今
 財布、出す、から」

今頃、溢れる涙・・・

「アイ、さっきの人に
 何かされたの?」

「ううん、違うの」

私は、涙を拭う。

私が泣くのは、違う。

藍・・・

浬に気づいて貰えなかった
から涙が流れるの?

浬を捨てたくせに
どうして泣くの?

浬が、私に気づく事は無く

私は、愛する人の声しか
聞くことができなかった・・・
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