二藍蝶
「ヒロ、ごめん、私
 行きたい場所があるの
  
 ここで別れよう」

咄嗟にそんな事を言い出す
私に、茉優は驚いている。

時計は、深夜1時半。

「アイ、こんな時間に 
 どこに行くって言うの?
 
 危ないよ、明日にしなよ」

「明日じゃ駄目なの・・・」

今でなきゃ、明日になれば
私はきっと、動けなくなる。

浬の怒った声を何度も
何度も繰り返し思い出して
貴方に逢いに行く勇気が
持てなくなる。

今夜、この高ぶる今の感情
のままに行動すれば
私は、自分勝手な女になれる

今夜なら・・・

タクシーに乗り込む、私。

「ヒロ、ごめんね」

「アイ、帰って来るよね?」
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