二藍蝶
深い息を吐く、浬。

「質の悪い冗談に朝から
 付き合わせるなよ

 昔の女がのこのこ現れりゃ
 一回ぐらい遣らせてくれる
 そう、男なら思うだろう
 
 期待させんなよ」

冷笑する、浬・・・

「ほらっ、分かったなら
 帰れよ」

私は、ベッドに座ったまま
動けない・・・

ううん、違う

動けないんじゃない

動かないの・・・

帰れ、帰れ、帰れ

「藍、早く・・・」

「聞こえてる・・・
 分かったよ」

浬が、ほっと息を付いた

悲しい・・・
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