二藍蝶
「うそ、カイリ
 こんなところで
 何してるの?」

聞き覚えのある、高い声。

そう、去年の夏に
この場所で出会い

遊んだ女の声・・・

もともと、女と付き合う気
なんて、俺には無い。

吐き出したい時

人恋しい時

隣で眠る女がいれば
それでいい。

一回遣って、さようなら。

そんな俺に激怒した彼女・・・

俺から分捕った時計を
今も、その細い腕に
付けていた。

時計を見つめる

俺の背中に

熱い視線を感じる。
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