二藍蝶
俺を、じっと見つめる彼女。

その瞳・・・結構、好きだ。

「・・・教えない」

そう言って、俺の前を歩く
彼女の細い腕に、俺は
触れる。

細い腕・・・

俺の腕時計・・・

親父の時計・・・

「これ、返せよ」

「ダメ、気に入ってるの」

甘い瞳で、俺は彼女を
見つめて欲する。

「返してよ・・・」

「しかたないなぁ」

腕時計を外しかけた
彼女の手が止まる。
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