二藍蝶
「やっぱり、やめたぁ
 
 そうだ、カイリ
 
 今、ここで
 キスしてくれたら
 この時計、あなたに
 返してあげる

 その傷ついた唇で
 私に触れて」

「お安い御用」

彼女を抱き寄せて
俺は触れようとした

その唇に・・・

すると彼女は、ビクッと
体を振るわせた。

きっと、本当の彼女は
キスを、せがむ様な女じゃない

彼女の鼻先を俺は抓む。

「無理すんなよ」

「無理なんてしてない
 キスをくれないなら
 これは、返さないから」

時計を握り締める

小さな手・・・
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