二藍蝶

半端な気持ち

立派な門構えの家の前に
俺は立つ。

計算し尽くされた庭園は
ため息が出るほどに
美しい。

懐かしい香り・・・

俺は、ガキの頃
この場所から眺めていた。

この庭で、逢えない父を
想い、涙する母の姿を・・

「カイリ
 お前、何してる?」

振り返る俺の頭をコツンと
叩くのは親父の弟分
現在、高月組組長である
兵藤 要
(ヒョウドウカナメ)

昔、彼の膝の上が
俺の居場所だった。

俺の親父代わりの一人。

今は、最も
近寄りがたい人・・・

「カナメ・・・
 カナメさんこそ
 どうしてここに?」
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