二藍蝶
「それなら、いい・・・
 カイリ
 ヤクザなんてのはな
 これしかできねぇ
 奴がなるんだ

 お前は、限りなく
 いろんな物に成れるさ
 
 お二人に
 宜しく伝えてくれ」
  
頷く俺は、車を降りる。

「先代のところへ、頼む」

「はい、分かりました」

走り出す車を、俺は見つめる。

『極道になりたい』

俺の血が、初めて騒いだのは

疲れて眠る親父の背に潜む
黒龍を、じっくりと眺めた
あの時・・・

それまでの俺は、なるべく
親父の背中を見ないように
していた。

見てはいけないものだと
子供ながらに思っていた。
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