二藍蝶
眠り続けていた浬の首に
このネックレスを付けた
のは、母、菫だった。

眠リ続けるわが子に

彼女との素敵な夢が
見れますように・・・

「アイ、本当に
 返さなくていいのか?」

「うん、いいよ
 
 返してもらう時は
 もう、決めてるの・・・」

「いつ?」

「ナイショだよ
 それまで、ここで
 輝いていてね」

「藍、俺の体が回復して
 何か仕事に就けたら
 結婚してくれないか?」

突然の浬からのプロポーズ
の言葉に驚く、藍。

「カイリ、本気?」

「ああ、本気も本気
 大マジ
 
 俺、遣って退けて
 みせるからさ

 もう少しだけ
 待ってくれるか?」

右目から生まれた涙は
こめかみを伝い、浬の肩に
染み込み、消える。

「うん、待ってる」

藍の唇が、浬の頬に触れる。
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