二藍蝶
私は、松葉杖を持って
浬の傍に近づく。

私を見て、照れくさそうに
微笑む、浬。

直毛の黒髪をシャギーで
軽くして遊び心を持たせ
毛先は長い部分と短い部分
が混ざって・・・

あまりのカッコよさに
見惚れて言葉がでない
私を見つめる、浬。

「み、短くしなかったの?」

「何か、長い方がまとまって
 かっこいいらしい、変か?」

切った髪に触れる、浬。

「とっても似合ってるよ」

美容室のスタッフの女性が
皆、貴方に注目する。

お金を支払う、浬の指先が
髪をカットしてくれたスタッフ
に触れると、彼女の頬は
ほんのり、赤くなった。

浬は絶対、彼女に微笑む。

「ありがとう」

ほらっ、やっぱり微笑んだ。

「ありがとうございました」

遠い昔、これに似た焼きもちを
焼いたことがあるような・・・
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